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不眠について

「不眠」は、更年期の多くの女性が訴える、代表的な更年期症状のひとつです。厚生労働省の調査によれば、更年期障害の症状として「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」といった睡眠障害を訴える女性は、全体の30〜40%にのぼるとされています。

更年期に起こる不眠の主な原因は、エストロゲンの急激な減少によって引き起こされる、自律神経の乱れです。エストロゲンは、女性の心身に多くの影響を与えるホルモンであり、体温調節、血流の維持、脳内の神経伝達物質(特にセロトニンやメラトニン)のバランスの維持にも関わっています。

エストロゲンの減少は、脳の視床下部にある自律神経中枢にも影響を与え、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすくなります。交感神経が優位な状態が続くと、心身が「戦闘モード」のままになり、リラックスして眠りにつくことが難しくなります。また、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌も減少することで、眠気が訪れにくくなり、不眠が助長されてしまいます。

さらに、ホットフラッシュ(のぼせ・発汗)や動悸などの身体症状が夜間に出ることで、夜中、睡眠中に突然目覚めてしまったり、浅い眠りが続き、睡眠の質も低下します。

更年期の不眠を改善するためには、生活習慣の見直しと、ホルモンバランスや自律神経を整える工夫が効果的です。まず、決まった時間に起床・就寝することで、体内時計が整い、メラトニンの分泌も安定します。寝る1〜2時間前には照明を暗めにし、スマートフォンやPCのブルーライトを避けることも重要です。

また、ウォーキングやヨガなどの適度な運動は、交感神経の興奮を抑え、ストレスを軽減します。とくに昼間に日光浴を取り入れることで、セロトニンの分泌が促され、夜のメラトニン生成につながります。

そして食事では、エストロゲンに似た作用を持つ、大豆イソフラボンを含む食品(豆腐、納豆、豆乳など)を摂ることで、ホルモンバランスの維持に役立ちます。また、カルシウム(牛乳・乳製品、小魚、海藻類、大豆製品など)や、マグネシウム(海藻、魚介、穀物、野菜、豆類、ナッツ類など)は神経の興奮を抑え、良質な睡眠を助けます。

これらの症状の緩和に役立つとされるサプリメントや漢方薬もあります。大豆由来成分「エクオール」を含み、ホルモンに似た作用が期待されるエクエル(大塚製薬)や、自律神経を整える効果があり、漢方成分を中心とした命の母A(小林製薬)。そして、漢方薬の加味逍遙散は精神的な不安や不眠に用いられます。また、アミノ酸の一種であるグリシンやGABAを配合したサプリメントも、睡眠の質を向上する栄養素だと言われています。

更年期における不眠は身体的・心理的な負担となりやすく、心身や日々の生活全般にネガティブな影響を与えかねません。現代では、夜寝る前にスマートフォンの画面を眺める時間が長くなってしまいがちですが、質の高い睡眠のためには、その習慣も考え直す必要がありそうです。自分の体と心の変化に丁寧に向き合い、必要に応じてサプリなどのサポートも得ながら、無理のない範囲でできることから始めたいですね。。